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AI検索時代の新戦略「ナラティブ・マーケティング」とは?―「選ばれる理由」をつくる実践と可能性
バリューコマース、Web担当者Forumミーティング2026秋 登壇レポート

バリューコマース株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 最高経営責任者:香川 仁)は、2026年11月5日、赤坂インターシティコンファレンスで開催された「Web担当者Forumミーティング2026秋」において、当社執行役員 Chief Marketing & Strategy Officerの天野 武が「AI検索時代、『選ばれる理由』はどうつくられるのか?─ナラティブ・マーケティングの実践と可能性」をテーマに講演しました。

Web担当者Forumミーティング2026秋は、Webマーケティングやデジタルビジネスの最新動向、実践事例が共有されるイベントです。本講演では、AI検索によって変化するマーケティングの競争環境を背景に、ナラティブ・マーケティングの実践と可能性について解説しました。

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本講演は、2026年9月のMarkeZine Dayで紹介した「AI検索時代の競争環境の変化」を踏まえ、ナラティブ・マーケティングの具体的な実践へと踏み込んだ内容です。
AI検索がマーケティングをどう変えるのか。その背景や考え方については、前回の登壇レポートで詳しく解説しています。
本記事では、その要点を振り返りながら、「選ばれる理由」を発見・設計し、社会に拡げるための実践方法を紹介します。

■ AI検索が変える、マーケティングの前提
これまでのデジタルマーケティングは、生活者の限られた時間や注意をいかに獲得するかという「アテンションエコノミー」を中心に発展してきました。

広告では、ターゲティングや入札の最適化によって、いかにユーザーの目に触れ、クリックしてもらうかが重視されてきました。一方、SEOでは、検索結果の上位に表示され、自然検索からの流入を獲得することが重要な競争軸となってきました。
手法は異なっていても、共通していたのは、「まず見られること」が、その先の理解や購買につながるという前提です。
しかし、生成AIの普及によって、この前提が変わり始めています。
従来の検索エンジンは、人間が必要な情報を探すための技術でした。検索結果からWebサイトを訪問し、情報を読み、比較し、意思決定する。その一連のプロセスは、基本的に人間自身が担っていました。

一方、AI検索では、AIが複数の情報を収集・要約し、比較・解釈することで、人間の意思決定を支援します。もはや、情報を探し出すという「検索」という語の本来の意味を超えています。本記事では便宜上、AI“検索”と呼びますが、その実態は、情報を探すことから、情報を理解し、判断することへと大きく変化しています。
従来の検索が「情報探索の効率化」だったのに対し、AI検索では「認知活動の外部化」が進んでいるのです。さらに、AIは情報を探すだけでなく、そもそも購買意欲がなかった人に「欲しい」という動機を生み出すことさえあります。
Googleが提唱したZMOT(Zero Moment of Truth)*¹は、生活者が購買を決める前に、検索エンジンなどを使って情報収集・比較を行う重要な瞬間を捉えた概念です。つまり、何かを「欲しい」「知りたい」という動機が生まれた後の行動に着目していました。

しかし、生成AIとの対話は、そのさらに手前にまで入り込みます。Similarwebの調査では、AIとの会話を始めた時点で購入意向を示していなかったユーザーの46%が、会話終了までに購買シグナルを示したと報告されています。*²
従来の検索が、すでに存在する需要に応えるものだったのに対し、生成AIは対話を通じて新たな需要を生み出す可能性がある。ここにも、AI検索を単なる「検索」として捉えきれない理由があります。

*¹ Zero Moment of Truth(ZMOT):Googleが提唱した概念。消費者が商品を購入する前に、検索やクチコミ、レビューなどを通じて情報収集・比較検討を行い、購買意思を形成する段階を指します
*² Similarweb「Advertising in AI: Insights from Real User Behavior」(2026年5月発行)https://www.similarweb.com/corp/reports/advertising-in-ai/

この変化を象徴するのが、電通グループが2026年に提唱した新しい購買行動モデル「AIJES」です。*³


従来のAIDMAもAISASも、起点はAttention(認知)とInterest(興味・関心)でした。つまり、まず生活者の注意を獲得することが、マーケティングの出発点だったのです。
しかし、AIJESでは、社会に蓄積された情報(Archive)を起点に、AIとの対話(Interaction)を通じて判断や購買行動が形成されます。
「まず認知を獲得する」という大前提が崩れ始めている。これは単なる購買行動モデルの変化ではなく、アテンションエコノミーを前提としてきたマーケティングの競争ルールそのものが変わり始めていることを意味します。

*³ 国内電通グループ「AI時代の新購買行動モデル『AIJES』を提唱」(2026年9月)
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0910-011097.html

つまり、AI検索の本質は、単なる「検索革命」ではなく、人間の認知や意思決定の一部をAIが担う「認知革命」にあります。
マーケティングは、生活者に「まず見てもらう」ことを前提とした競争から、AIがどのような情報をもとにブランドを理解し、生活者の判断を支援するのかという、新たな競争へと向かい始めているのです。

■ 「見られる競争」から「語られる競争」へ
AI検索によって変わるのは、生活者の購買行動だけではありません。ブランドが評価され、選ばれる仕組みそのものも変わり始めています。
従来のSEOでは、検索結果の上位に表示され、生活者に自社の情報を見てもらうことが重要でした。
しかし、AI検索では、AIが企業の公式情報だけでなく、比較記事やレビュー、SNS、動画など、さまざまな情報を収集・解釈し、生活者の質問に応じた回答を生成します。
つまり、企業が何を発信しているかだけでなく、社会の中でブランドがどのように語られているかが、AIによるブランド理解や推薦に関わるようになっているのです。これまでのマーケティングが、いかに多くの人に「見てもらうか」を競ってきたとすれば、これからは、ブランドが「誰に、どんな文脈で、どう語られるか」が新たな競争軸になります。
ブランドは、企業が一方的に伝えるものから、社会のさまざまな語りを通じて理解されるものへ。
これが、「見られる競争」から「語られる競争」への転換です。

■ 「語られること」は「選ばれること」ではない―ナラティブ拡張という考え方―
ただし、ブランドが社会で語られるようになれば、それだけで選ばれるわけではありません。
AI検索対策では、自社ブランドがAIの回答に登場する割合を示す「言及率」が重要な指標のひとつです。しかし、言及率で分かるのは「どれだけ取り上げられたか」であり、「どのように評価され、なぜ推薦されているか」までは分かりません。

例えば、あるオールインワン化粧品がAIに言及されていても、「保湿力を重視するならおすすめ」と好意的に評価される場合もあれば、「価格を重視するなら選択肢のひとつ」「乾燥が気になる人には物足りない」と評価される場合もあります。これが「語りの方向」の違いです。
さらに、同じ好意的な評価でも、「これひとつでスキンケアが完結する」という機能的な説明と、「夜間授乳などで自分のケアに時間をかけにくい人でも、短時間でケアできる」という具体的な生活文脈に結びついた説明とでは、伝わる価値が異なります。これが「語りの深さ」の違いです。
重要なのは、単に言及されることではなく、誰に、どんな文脈で、どのような理由で選ばれるブランドとして語られているかなのです。

こうした「語りの深さ」は、商品の機能やスペックが、生活者にとっての「選ばれる理由」になるかどうかを左右します。例えば、ノートPCの「バッテリー最大15時間」というスペック。それ自体は商品の特徴ですが、「外回りの多い営業職でも、充電を気にせず仕事を続けられる」となれば、具体的な利用シーンと結びついた価値になります。
さらに、「朝から外回りが続く日も、電源のあるカフェを探さず、一日仕事を続けられる」という物語になれば、単なるスペックが、誰かにとっての「選ばれる理由」へと変わります。

機能そのものではなく、その機能が誰の、どんな課題を解決するのか。 そこまで語られて初めて、ブランドの強みが生活者の選択につながるのです。
しかし、AIが商品の強みを理解していても、具体的な利用シーンでは推薦につながらないケースがあります。

講演では、ミキサーを題材に、ChatGPT・Gemini・Claudeの3つのAIによる推薦結果を紹介しました。
「ハイパワーなミキサー」という質問では対象ブランドが3つすべてのAIで推薦された一方、「冷凍フルーツ対応」「スムージーにおすすめ」といった用途を指定すると、推薦されたのはそれぞれ1つのAIにとどまりました。
つまり、AIが商品の強みを知っていることと、その強みが生活者の課題や用途と結びつき、推薦されることは別の問題なのです。

そこで重要になるのが「ナラティブ拡張」という考え方です。

従来のマーケティングでは、より多くの生活者に情報を届ける「オーディエンス拡張」が重視されてきました。一方、ナラティブ拡張では、ブランドが意味を持つ文脈や体験、推奨理由そのものを増やしていきます。
従来のデジタルマーケティングでは、購入者や関心層と似た属性や行動をもつ人を探す「Look-a-Like(類似オーディエンス)」などを活用し、広告のリーチを広げる「オーディエンス拡張」が重視されてきました。これは、より多くの人に情報を届ける、いわば「見られる競争」の発想です。

一方、「語られる競争」において重要になるのが、「ナラティブ拡張」という考え方です。リーチする「人」を増やすのではなく、ブランドが意味を持つ「文脈・体験・推奨理由」を増やしていく。つまり、どれだけ多くの人に見られるかではなく、誰にとって、どんな理由で選ばれるブランドとして語られるか。その物語を社会に拡げることが、新たな競争力になるのです。

同じ商品であっても、誰が、どんな課題を抱え、どんな場面で使うのかによって、「選ばれる理由」は変わります。ナラティブ拡張とは、クチコミをただ増やすことではなく、生活者それぞれにとって意味のある「選ばれる理由」を社会に拡げることなのです。■ ナラティブ・マーケティングとは何か?
ここまで見てきたように、AI検索時代には、ブランドがどれだけ認知されているかだけでなく、誰に、どんな文脈で、どのような理由で選ばれるブランドとして語られているかが重要になります。
こうした変化を踏まえ、バリューコマースがAI検索時代の新たな競争戦略として位置づけているのが「ナラティブ・マーケティング(Narrative Marketing)」です。

ナラティブ・マーケティングとは、ブランドが「どう語られるか」を設計し、「選ばれる理由」を社会に拡げるマーケティングです。

その中核にあるのが、先ほど紹介したナラティブ拡張という考え方です。単にクチコミや情報量を増やすのではなく、ブランドが意味を持つ文脈や体験、推奨理由を発見し、多様な第三者の語りを通じて社会に広げていきます。

では、企業はそのために何をすればよいのでしょうか。

バリューコマースでは、ナラティブ・マーケティングを実践するプロセスとして、UNDERSTAND(理解する)→ DESIGN(設計する)→ ACTIVATE(社会に実装する)の3つのステップを考えています。まず、AIや第三者がブランドをどう理解しているかを捉え、企業が伝えたい価値とのズレを発見する。次に、そのズレを埋めるために、誰にとって、どんな「選ばれる理由」を増やすべきかを設計する。そして、メディアやクリエイターなど多様な語り手を通じて、その物語を社会に実装していきます。
重要なのは、企業が一方的に伝える情報を増やすのではなく、第三者がブランドを理解し、語るための文脈をつくることです。

■ ブランド理解のズレから、新たな物語を発見する
ナラティブ・マーケティングの実践は、ブランドが社会でどのように理解されているかを把握することから始まります。
そのために、まず変えるべきなのが、AI検索の捉え方です。

AI検索によって自然検索からの流入が減少するなか、AIの回答に自社ブランドを取り上げてもらい、失われたトラフィックを取り戻そうとする動きがあります。しかし、AIを新たな集客チャネルと捉え、露出や流入の獲得だけを目指すのであれば、それは従来のSEOと同じ「見られる競争」の延長にすぎません。

重要なのは、AIを「流入チャネル」ではなく、社会に形成されている「ブランド理解を映す装置」として活用することです。AIが自社ブランドを取り上げているかだけでなく、どのように理解し、どんな理由で推薦しているかを観測します。

この考えに基づけば、評価すべき指標も変わります。単にAIに言及されているかではなく、「選ばれる理由」が形成されているかを見る。そして、既存の検索需要を起点に露出を獲得するのではなく、「勝つべき物語」を起点に、どのようなブランド理解を形成すべきかを考えるのです。
つまり、AI検索対策を「露出の最適化」から「ブランド理解の設計」へと転換すること。これが、ナラティブ・マーケティングにおけるUNDERSTANDの出発点です。具体的には、まず3つの視点からブランド理解を比較します。

  • 企業が伝えたい価値:ブランドとして、誰に・どんな価値を届けたいのか
  • AIが理解・推薦する価値:AIは、誰に・どんな理由でそのブランドを推薦しているのか
  • 第三者が語る価値:レビューや比較記事、SNSでは、どんな体験や評価が語られているのか

重要なのは、この3つを企業が考える「正解」に無理やり一致させることではありません。それぞれの理解のズレから、まだ十分に語られていない価値や、企業自身も気づいていなかった新たな文脈を発見し、次に増やすべき物語の方向性を見極めることです。さらに、既に存在する物語については、「選ばれる理由」として何が不足しているのかを4つのGapから診断します。

ISSUE GAPは、商品やブランドの良さは語られていても、誰のどんな課題に応えるのかが見えない状態。REASON GAPは、機能やスペックが認識されていても、なぜ選ぶ価値があるのかまで語られていない状態です。
また、STORY GAPは、個々の情報や評価が存在していても、課題認識から比較・納得・選択までが一つの物語としてつながっていない状態。PROOF GAPは、推奨や価値は語られていても、それを裏付ける具体的な根拠が不足している状態を指します。

これらのGapは、物語を「選ばれる理由」へと深めるための診断観点です。誰の課題を解決するのか、なぜ選ぶのか、どのように納得に至るのか、その根拠は何か。語りの中で不足している要素を特定し、補うべき情報や文脈を明らかにします。

新しい物語の発見(3つの物語のズレ)と、既存の物語の不足を補うこと(4つのGap)。この2つを行き来しながら、「選ばれる理由」をより具体的にしていきます。

つまり、GEO分析を、単にAIに「露出しているか・していないか」を確認するものから、「次にどんな物語を増やすべきか」と「今ある物語の何を補うべきか」を明らかにする戦略的な診断へと進化させるのです。■ 物語は、データから設計する―ナラティブ拡張とNarrative Score―
UNDERSTANDでブランド理解のズレや不足を発見したら、次は、どんな物語を社会に拡げるべきかを設計する「DESIGN」のステップです。
その中核となるのが「ナラティブ拡張」です。ブランドが持つ強みを、生活者の課題や利用文脈と結びつけ、次に増やすべき「選ばれる理由」を発見・設計します。

ただし、物語を思いつきだけで増やしても、必ずしも生活者の選択につながるとは限りません。そこで、データを活用して物語の質を評価し、拡張の精度を高めていくことが重要になります。

この仕組みを支えるのが、「Narrative Gap」「Narrative Expansion」「Narrative Score」の3つの要素です。

Narrative Gapから新しい物語の方向性や不足要素を発見し、Narrative Expansionによって増やすべき物語を設計する。そして、Narrative Scoreで語りの質を評価し、その結果を次の設計に活かしていきます。実は、UNDERSTANDで紹介した4つのGapとNarrative Scoreの評価軸は、共通の考え方に基づいて設計されています。 Gapによって物語の不足を発見し、Scoreによって語りの質を評価する。つまり、診断と評価を同じ枠組みでつなぐことができるのです。

Narrative Scoreは、物語の質を5つの観点から可視化する指標です。

  • 対象明確性:誰の、どんな課題に応えるブランドとして語られているか
  • 判断支援性:比較軸や、選ぶべき理由が示されているか
  • 意思決定導線性:課題認識から比較・納得・選択までがつながっているか
  • 具体性:体験・数値・条件など、具体的な情報が含まれているか
  • 信頼性:過度な売り込みではなく、信頼できる情報として語られているか

例えば、ISSUE GAPは対象明確性、REASON GAPは判断支援性、STORY GAPは意思決定導線性に対応します。また、PROOF GAPは、根拠の具体性と信頼性の両面から評価できます。

これまでのSEOでは、検索順位や表示回数、クリック率など、主に「どれだけ見られるか」が重視されてきました。一方、Narrative Scoreが可視化するのは、「誰に、どんな理由で、どう語られているか」という物語の質です。
つまり、従来の「見られる量」の評価に加え、「語られる質」をデータで捉えるという新たな評価軸を持つことになります。

■ 「良い物語」は、AI検索にも購買成果にもつながるのか?
では、Narrative Scoreで評価した「語りの質」は、実際のAI検索や購買成果とどのような関係にあるのでしょうか。バリューコマースでは、この関係を検証するため、複数の分析を進めています。

まず、AI検索との関係です。
Google AI Overviews(AIO)に参照された記事50件と、ランダムに抽出した比較記事50件を対象にNarrative Scoreを分析したところ、AIO参照記事の平均スコアは74.5点、比較記事は66.3点となり、AIO参照記事の方が高い傾向が確認されました。

また、80点以上の記事の割合は、AIO参照記事が48.0%だったのに対し、比較記事は8.0%。語りの質に大きな違いが見られました。
特に差が大きかったのが、「対象明確性」です。誰の、どんな課題に応える商品・ブランドなのかが明確に語られている記事ほど、AIOに参照されている傾向が見られました。
これは、単に商品の特徴やメリットを列挙するのではなく、生活者の課題とブランドの価値を具体的に結びつけることの重要性を示唆しています。さらに、Narrative Scoreと購買成果との関係も検証しています。
Narrative Scoreが低い記事群のCVRを1.00とした場合、高い記事群のCVR指数は1.18となり、高スコア群の方がCVRが18%高いという結果が得られました。
つまり、Narrative Scoreで捉えようとしている語りの質は、AI検索における参照傾向だけでなく、実際の購買成果とも関係している可能性があります。

もちろん、これらの分析は相関関係を示すものであり、Narrative Scoreを高めれば必ずAIに参照され、CVRが向上するという因果関係を証明するものではありません。
それでも、「選ばれる理由」が明確に語られていることは、AI検索への対応と購買成果の双方を考えるうえで重要な視点だと考えています。

ナラティブ・マーケティングが目指すのは、単に良い物語をつくることではありません。その物語が生活者の判断を支え、最終的な購買成果にもつながることです。

■ メディアに新しい価値が生まれる――物語を社会に拡げるNAINS
では、設計した物語を、どのように社会に拡げていけばよいのでしょうか。

その鍵を握るのが、メディアやクリエイター、生活者といった第三者の存在です。
これまで、アフィリエイトメディアの価値は、検索エンジンなどから生活者を集め、広告主のサイトへ送客し、コンバージョンにつなげることを中心に評価されてきました。
しかし、AI検索時代には、メディアが持つ価値がもう一つ生まれ始めています。それが、ブランドの「選ばれる理由」を社会に蓄積し、AIや生活者のブランド理解を形成する価値です。

例えば、比較記事やレビュー、専門的な解説、実際の利用体験は、生活者の購買判断を支えるだけでなく、AIがブランドを理解し、推薦理由を組み立てる際の情報源にもなり得ます。

こうした変化は、すでに業界でも見られます。
アフィリエイト・パートナーシップ領域のimpact.comは、「Affiliate Programs are your biggest GEO Asset」という考え方を発信し、アフィリエイトのパートナーネットワークをGEOにおける重要な情報資産として位置づけています。
また、朝日新聞社は2026年9月、生成AIによるブランドの言及・引用を意識した新たな広告メニュー「AIO/GEOタイアップ」の提供を開始しました。メディアが持つコンテンツ制作力や信頼性を、AI検索時代の新しい広告価値につなげる取り組みです。

つまり、メディアの価値は「送客」から「ブランド理解」へ置き換わるのではなく、送客価値にブランド理解を形成する価値が加わるということです。バリューコマースでは、こうしたナラティブ・マーケティングの実践を支える基盤として、「NAINS(ナイン)」というプラットフォームの構築を進めています。

NAINSは、大きく3つのレイヤーで構成されます。

Intelligence Layerでは、アフィリエイト記事やSNS、レビュー、AIの回答など、社会に存在する多様な語りを収集・観測します。
Engine Layerでは、蓄積された情報をもとにブランド理解のズレや拡張機会を捉え、Narrative ExpansionやNarrative Scoreを活用して、次に増やすべき物語の設計・評価を支援します。
Activation Layerでは、メディアやクリエイター、生活者など、多様な第三者の語り手を通じて物語を社会に実装し、購買や来店などの成果につなげていきます。

さらに、実装によって得られた反応や成果を再びデータとして蓄積し、次の物語の設計や評価に活かしていくことを目指しています。

物語を発見し、設計し、社会に実装する。そして、その成果から学び、次の物語へとつなげていく。
NAINSは、この一連の循環をデータとテクノロジーで支え、ブランドの「選ばれる理由」を継続的に拡張していくためのプラットフォームです。■ 「知られている」と「選ばれる」の間にあるもの
ここまで、AI検索によって変わるマーケティングの競争環境と、「選ばれる理由」を社会に拡げるナラティブ・マーケティングの考え方、そしてその実践方法を紹介してきました。

最後に、改めて考えたいことがあります。

ブランドが生活者やAIに選ばれるために、本当に必要なものは何でしょうか。
講演の最後に提示したのは、ブランドが選ばれるまでの4つの段階です。

知っている:ブランドや商品の存在が認識されているか
分かっている:そのブランドの特徴や強みが正しく理解されているか
つながっている:その強みが、生活者の具体的な課題や利用文脈と結びついているか
選ばれている:生活者の購買判断やAIによる推薦において選ばれているか

多くの企業は、広告やSEO、さまざまなマーケティング活動を通じて、ブランドの認知を獲得し、その特徴や強みを伝えることに取り組んできました。その結果、「知っている」「分かっている」までは実現できているブランドも少なくありません。

それでも、なぜ選ばれないのでしょうか。
そのボトルネックになり得るのが、3つ目の「つながっている」という段階です。

例えば、商品の性能が優れていることは知られていても、その性能が「自分のどんな悩みを解決してくれるのか」「どんな場面で役に立つのか」まで結びついていなければ、生活者にとっての選択理由にはなりません。

AIによる推薦でも同様に、ブランドの強みを理解していることと、具体的な相談に対してそのブランドを推薦することは別の問題です。
つまり、ブランドの強みが認識・理解されているだけでは不十分で、それが生活者の課題や文脈とつながって初めて、「選ばれる理由」になるのです。

だからこそ、ブランドがどう理解され、語られているかを捉え、まだつながっていない課題や文脈を発見し、新たな物語として社会に拡げていくことが重要になります。
ブランドの強みを、生活者の課題とつなぐ。その接続こそが「選ばれる理由」を生むのです。

 

AI検索時代に競うのは、どれだけ見られるかではなく、どのように語られるか。
ブランドは、企業が一方的に伝えるものから、社会が理解し、語るものへ。

バリューコマースは、こうした変化に向き合い、「選ばれる理由」を社会に拡げるナラティブ・マーケティングの実践を進めていきます。


Narrative Marketing Platform
「NAINS」ティザーページ
https://www.valuecommerce.ne.jp/nains/

 

<本件に関するお問い合わせ先>
バリューコマース株式会社 セールスサポート
E-mail: Sales_Promotion@valuecommerce.co.jp

<本件に関する報道関係のお問い合わせ先>
バリューコマース株式会社 広報
お問い合わせフォーム:https://www.valuecommerce.co.jp/contact/press/

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