ChatGPTは、なぜ競合をおすすめするのか? AIの推薦結果から見えてきた「選ばれる理由」の発見
バリューコマース、広告主向けオンラインセミナー開催レポート
バリューコマース株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 最高経営責任者:香川 仁)は、2026年10月14日、広告主向けオンラインセミナー「ChatGPTは、なぜ競合をおすすめするのか? ― AI検索時代に、『選ばれる理由』からマーケティングを再設計する ―」を開催しました。
本セミナーでは、AI検索におけるブランドの推薦状況や、参照するコンテンツの分析事例をもとに、ブランドが「選ばれる理由」を明らかにし、マーケティング活動に活かす考え方を紹介しました。
生成系AIの普及によって、生活者の商品選びも変わりつつあります。従来のように、キーワードで検索して比較するだけでなく、自分の悩みや条件を生成系AIに相談し、おすすめの商品やその理由を教えてもらう形へと広がっています。
こうした変化を受け、企業のAI検索対策では、自社ブランドが回答に表示されているか、どの記事が引用されているかといった「露出」に注目が集まっています。
しかし、実際にAIの推薦結果を分析すると、ブランドの特徴や強みが正しく理解されていても、生活者の相談内容によっては競合ブランドが優先して推薦されるケースがあります。
また、比較記事やレビュー、クチコミなどの第三者コンテンツには、企業が十分に伝えきれていない商品の強みや、想定していなかった利用シーンが語られていることもあります。
AIの推薦結果と第三者コンテンツを読み解くことで、企業がこれまで認識していなかったブランドの「選ばれる理由」が見えてくるかもしれません。
本レポートでは、セミナーで紹介した具体的な分析事例をもとに、AI検索時代にブランドの「選ばれる理由」をどのように発見し、マーケティングに活かしていくのかを解説します。
■ AIはブランドの強みを知っているのに、なぜ競合をおすすめするのか?
生成AIに自社の商品名やブランド名を直接質問すると、その特徴や強みを正しく説明できる場合があります。
しかし、ブランド名を指定せず、生活者の悩みや利用目的から質問すると、自社ブランドではなく競合ブランドが推薦されることがあります。
セミナーでは、実際のブランド分析で確認された傾向をもとに、こうした推薦結果の違いを紹介しました。
ある商品の分析では、性能や特徴に関する質問では、対象ブランドと競合ブランドの両方が推薦されていました。
ところが、生活者の具体的な利用目的を含めて質問すると、競合ブランドが優先的に推薦されるケースが見られました。
対象ブランドにも、その用途に対応できる特徴があるにもかかわらず、質問の内容によってAIの推薦結果には違いが生まれていたのです。
また、別のサービスの分析でも、サービスの特徴に関する質問では推薦される一方、より幅広い生活者のニーズを起点に質問すると、競合サービスが優先的に推薦されるケースが確認されました。
これらの事例に共通するのは、AIがブランドの特徴や強みを認識していても、必ずしも推薦するとは限らないということです。
「何ができるか」が理解されていても、「誰の・どのような課題に応えるか」という相談では、必ずしも選ばれるとは限りません。
生活者が何を重視して相談するかによって、AIが提示する選択肢や、その選択理由は変わります。
つまり、AI検索時代のブランド分析では、自社ブランドが言及されているかだけでなく、「どのような相談で、なぜ選ばれているのか」まで確認することが重要なのです。

※事例は実際の調査で確認された傾向をもとに、企業・商品が特定されないよう一部再構成しています。
■ AIが参照する記事には、どのような特徴があるのか?
では、AIはこうした推薦理由を、どのような情報から組み立てているのでしょうか。
生成AIは、学習済みの知識に加え、検索で取得した公式サイトや比較記事、レビューなどの情報を参照しながら、質問の条件に応じた回答を生成することがあります。
そこで当社では、AIによる参照頻度が高い記事50件と、比較対象として抽出した記事50件の合計100件を対象に、記事の「語られ方」を分析しました。
分析に用いたのが、当社独自の評価指標「Narrative Score(ナラティブスコア)」(特許出願中)です。
ナラティブスコアは、商品の特徴やスペックだけでなく、「誰のどのような課題に応え、なぜ選ぶ価値があるのか」が、記事の中でどれだけ具体的に語られているかを複数の観点から評価するものです。
今回の分析では、「課題の明確さ」「比較・葛藤軸」「意思決定プロセス」「具体性・エビデンス」「セールス臭の制御」の5つの観点から記事を比較しました。
その結果、5つの観点すべてでAI参照上位記事の平均スコアが高く、特に大きな差が見られたのが「課題の明確さ」でした。
AI参照上位記事では、単に商品の特徴を紹介するだけでなく、「誰の・どのような課題に応えるか」が明確に語られている傾向が見られたのです。
これまで記事やメディアの評価では、検索順位や流入数など、主に集客・送客の成果を測る指標が重視されてきました。
これらは今後も重要ですが、それに加えて、記事の中で「誰のどのような課題に応え、なぜ選ぶ価値があるのか」が、どれだけ具体的に語られているかという視点も必要になると考えています。
なお、今回の分析は、記事の特徴とAI参照状況の関係を比較したものであり、ナラティブスコアが高いことがAIへの引用を直接引き起こすと証明したものではありません。
一方で、今回確認された傾向は、AI検索時代にどのような情報を充実させていくべきかを検討するうえで、有用な示唆を与えるものと考えています。
■ 公式・AI・第三者の「語られ方」を比較することで見えてくるもの
自社ブランドの「選ばれる理由」を考えるうえで、当社では3つの視点を比較しています。
一つ目は「公式が伝えたい価値」です。企業が自社ブランドのどのような強みを、誰にどのような価値として伝えたいと考えているのか。
二つ目は「AIが理解・推薦する価値」です。AIがブランドの特徴や強みをどのように理解し、どのような相談に対して推薦しているのか。
そして三つ目は「第三者が語る価値」です。比較記事やレビュー、口コミなどで、どのような強みや利用体験が語られているのか。
この3つは、必ずしも一致するとは限りません。
重要なのは、すべてを企業が伝えたいメッセージに合わせることではなく、それぞれの語られ方の違いから、新たな可能性を見つけることです。
当社では、こうした違いを「誰のどのような課題に応えているか(ISSUE)」「なぜ選ぶ価値があるか(REASON)」「どのような体験や検討を経て選ばれるか(STORY)」「その選択理由を裏付ける根拠があるか(PROOF)」という4つの観点から整理しています。
この比較から得られる発見は、大きく3つに整理できます。
1.不足の発見
企業が伝えたい価値は認識されているものの、生活者の具体的な利用シーンや選択理由として十分に語られていないケースです。
例えば、商品の特徴がAIに認識されていても、それが生活者のどのような課題に役立つのか、具体的な情報が不足している場合があります。
この場合、新しい強みをつくるのではなく、既存の強みがどのような場面で価値を持つのかを、より具体的に伝える余地があります。
2.価値の再発見
企業が想定していなかった利用者や選択理由が、第三者の声から見つかるケースです。
例えば、利用者レビューを分析すると、企業が訴求している機能とは異なる視点から、その人にとっての利便性が語られていることがあります。
商品の強み自体は変わらなくても、「誰のどのような課題に役立つのか」が具体的になることで、新たな選択理由が見えてきます。
3.拡張機会の発見
すでにあるブランドの強みを、別の生活者の課題や利用シーンへ展開する可能性を見つけることです。
例えば、長時間使用できるという商品の特徴は、日常的な利用シーンだけでなく、別の生活課題に対しても価値を持つ可能性があります。
既存の強みを異なる文脈から捉え直すことで、これまで十分に語られていなかった利用シーンへの展開が考えられます。
このように、公式・AI・第三者の情報を比較することは、単に情報の不足を補うだけでなく、企業がまだ気づいていない価値や、新しい市場機会を発見するきっかけにもなります。
■ 発見した「選ばれる理由」を、どう市場に拡げるか?
発見した「選ばれる理由」を、どのように生活者に広げていけばよいのでしょうか。
セミナーでは、ノートパソコンを例に、同じ商品の強みでも、生活者の課題や利用シーンによって異なる価値を持つことを紹介しました。
例えば、大学生にとっては、毎日の持ち運びや授業で必要なソフトへの対応、長く安心して使える耐久性が重要になるかもしれません。外出の多い営業職であれば、バッテリーの持続時間やキーボードの操作性が、仕事を快適に進める理由になります。
子育て中の在宅ワーカーであれば、家の中で作業場所を変えやすいことや、丈夫で安心して使えることが価値になる可能性があります。
いずれも、商品の基本的な強みは変わりません。変わるのは、生活者が解決したい課題と、その課題に対して伝えるべき強みの組み合わせです。
重要なのは、新しい強みを無理につくることではなく、既存の強みを多様な生活者の課題や文脈と結びつけ、「選ばれる理由」を生み出すことです。
そして、こうした選択理由を企業が一方的に発信するだけでなく、より多様な生活者の課題や利用シーンへ広げていく。
このように、ブランドが選ばれる理由を多様な文脈で増やしていくことが、当社の考える「ナラティブ拡張」です。
■ 「AI検索対策」を増やすのではなく、既存のマーケティングを再設計する
今回のセミナーでお伝えしたい点は、単に「AI検索対策」という新しい施策を始めることではありません。
これまでのマーケティングでは、公式サイトは商品情報の発信、SEOは検索流入の獲得、SNSは認知や共感の形成など、それぞれの目的に応じて施策が実施・評価されてきました。
もちろん、こうした施策の目的や成果指標は今後も重要です。
一方、生活者にとっては、これらは別々の施策ではなく、商品やブランドを知り、比較し、選ぶための情報です。
だからこそ、「誰に、どのような理由で選ばれたいのか」を共通の軸として、マーケティング活動をつなぎ直すことが重要になります。
例えば、アフィリエイト広告で考えてみます。
従来は、記事から何クリック、何件のコンバージョンが発生したかという成果を中心に評価してきました。
今後はそれに加えて、記事を通じて生活者のどのような課題とブランドの強みが結びつき、どのような「選ばれる理由」が情報資産として蓄積できたのか、という視点も重要になると考えています。
単に商品を紹介するだけでなく、生活者の具体的な課題に対して、なぜその商品が選択肢になるのか、その理由を伝える記事をつくる。
こうした情報は、直接的な送客や購買につながるだけでなく、将来商品を検討する生活者の判断材料にもなり得ます。
これはアフィリエイトだけでなく、公式サイト、SEO、SNS、インフルエンサーマーケティングにも共通する考え方です。
当社では、ブランドがどのように理解され、語られ、選ばれるかを捉え、生活者にとって意味のある情報の形成を支援する考え方を「Narrative Marketing(ナラティブマーケティング)」と呼んでいます。
生成AIの普及によって、マーケティングの原則そのものが変わるわけではありません。
むしろ、生活者の課題を理解し、なぜその商品が選ばれるのかを考えるという、マーケティング本来の目的に立ち返ることが重要だと考えています。
■ あなたのブランドは、AIにどのような理由で選ばれているか?
セミナーの最後には、参加者に向けて4つの問いを紹介しました。
AIは
• 自社ブランドを知っているか
• ブランドの強みや価値を正しく理解しているか
• その強みを生活者の課題や利用シーンと結びつけているか
• 競合ではなく自社ブランドを推薦する理由を説明できるか
重要なのは、自社ブランドがAIの回答に表示されるかどうかだけでなく、推薦される場面や競合との比較における評価理由まで把握することです。こうした分析が、今後強化すべき情報や、ブランドが「選ばれる理由」を広げるための出発点となります。

当社では、AIによるブランドの認識・推薦状況と第三者コンテンツを比較し、ブランドの現在地や強化すべき情報の方向性を整理する取り組みを進めています。また、Narrative Marketingの考え方を実践する基盤として、Narrative Marketing Platform「NAINS(ナイン)」の提供準備も進めています。
Narrative Marketing Platform「NAINS」
https://www.valuecommerce.ne.jp/nains/
AI検索を新たな施策として切り離すのではなく、生活者の課題とブランドの強みを結び直し、既存のマーケティング活動につなげていくことを目指します。
登壇者紹介
バリューコマース株式会社
セールスプランニング部 ストラテジー&オペレーションズチーム マネージャー
栗田 侑奈
2019年にバリューコマース株式会社へ入社。Yahoo!ショッピング領域でリスティング広告やCRMを中心とした代理店営業に従事。2025年からアフィリエイト事業のデータ分析・営業支援を担当。
現在は、AI・データを活用した営業企画やブランド分析、提案設計に取り組む。特に、生成AIによるブランドの認識・推薦状況や第三者コンテンツの分析を通じて、生活者にとっての「選ばれる理由」を可視化する取り組みを推進。
自社ブランドの「選ばれる理由」を確認してみませんか?
AIは自社ブランドをどのような相談で推薦しているのか。競合とは、どのような選択理由に違いがあるのか。自社の強みが生活者の課題とどう結びついているかを確認することで、次に強化すべき情報の方向性を考えることができます。
バリューコマースでは、AI検索の傾向や、ブランドの強みがどのような文脈で語られているかを把握するための情報を提供しています。
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